奇想曲的パクシフ作品楽賞録

パクシフさんをメインに、ときどき他の海外ドラマについても語ります

そこでわかめスープ?ーヨンシクの誕生日②

11月8日のヨンシクの誕生日からだいぶ経ってしまいましたが、引き続き誕生日の話題です。時期を逸している気もしますが…

韓国の誕生日には欠かせないというわかめスープ「미역국」ミヨックッ。

逆転の女王でもヨンシクの誕生日の回で、セリフの中に登場します。他の回ではちょっと意外な使われ方もしています。今回はそんなわかめスープの話題です。


まずなぜ誕生日にわかめスープを飲むのか。ユニ先生のアンニョン!韓国から引用します。

このわかめスープ、韓国では産後と誕生日の食べ物だと考えられています。


赤ちゃんを生んだことで体力が低下してしまったお母さんは、産後の1ヶ月間は毎日わかめスープを食べます。わかめはカルシウムやヨードなどの健康な血液や骨を作るのに必要なミネラル成分が豊富に含まれているので、わかめを食べることでお母さんの体力が回復し、お乳の出もよくなり、赤ちゃんにも栄養がよく行き渡ると考えられているからです。

また、わかめは養殖によって大量生産が可能になる以前は大変貴重な食材で、白米とわかめスープがセットで韓国の宮廷料理として出されていたことから、わかめスープには特別な日のごちそうという意味もあります。誕生日の朝わかめスープを食べるのは、誕生日は、自分を産んでくれたお母さんに感謝し、お母さんは子どもを産んだときのよろこびを思い出し、その成長を祈る特別な日だからなのです。


ですから、誕生日に友だちと話をすると「わかめスープは食べた?」と必ず聞かれますし、一人暮らしをしている人も、お母さんから「わかめスープは食べたの?」という電話があります。韓国ではわかめスープは家族の愛情が込められていて、その愛情を感じ、感謝しながら食べる料理で、わかめスープのない誕生日はとても寂しい誕生日になってしまうのです。

モーレツ!アジア市場:ユニ先生のアンニョン!韓国


わかめスープのない誕生日はとても寂しい誕生日かあ……誕生日の朝、ヨンシクが一人でフレークを食べるシーンは、日本人が感じる以上にかわいそうに見えるのかもしれませんね? ヨンシク、あの家族にわかめスープをつくってもらったことあるんだろうか?

ヨンシクの台詞–わかめスープ

さて、ヨンシクの誕生日では「わかめスープ食べた?」と質問するセリフはないのですが、ヨンシクの方から「わかめスープも食べられなかった」と言うセリフがあります。

第8話、テヒに水をかけられて、そのままオートバイに乗ったら風邪を引いて死んでしまうから、ということでテヒの車に同乗して帰宅する場面。

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恩は返せなくても恨みは必ず返すのが座右の銘、というテヒのセリフの次です。違いが面白いので、字幕訳と吹き替え訳、吹き替え訳を元に直訳に近づけて訳したつもりの訳を書き出します。

【字幕訳】
ヨンシク:誕生日なのに優しくないな
テヒ:誕生日は母に感謝する日です 

【吹き替え訳】
ヨンシク:ひどいなあ
誕生日にわかめスープも食べられなかったし
テヒ:苦労して産んでくれたお母さんが食べるべきね

【吹き替え訳をベースに原文に近づけた訳】
ヨンシク:ひどいですね 本当に
誕生日なのにわかめスープも食べさせてもらえなかった人に
テヒ:わかめスープはお母さんが召し上がるべきね
苦労されたのはお母さんでいらっしゃるのだから


文字にすると一目瞭然。字幕訳はコンパクトにまとまっていますね〜

内容を見ると、吹き替え訳ではわかめスープが話題になっているのですが、字幕訳では出てきません。原文では2回「わかめスープ」と言っているところを、字幕ではスルーして話が進んでいるかのよう?

翻訳者の好みでそうなっているのではなく、おそらくは字数制限のためでしょう。ヨンシクのここのセリフはテンポが速い❕原文一秒につき訳語は四文字が基本だという字数制限では、すべての要素を入れるのは、無理でしょう。

わ・か・め・ス・ー・プ
だけで六文字もあるのが難点だったのでしょうか。わかめスープは字幕訳からは無くなって…

でも、わかめスープという言葉はなくても、誕生日にわかめスープを飲む意味の説明にはなっていますよね。わかめスープよ、見えないけれどあるんだね、という感じ?わかめスープを完全無視しているわけではないんですね〜こういう風に意訳するのかあ?、とけっこう印象に残った箇所です。


※自分用メモ
ここのヨンシクのセリフ
생일인데 미역국도 못 얻어먹은 사람한테
センイリンデ ミヨックト モ ドドモグン サラムハンテ

「モドドモグン」って響き、何だかオカシイ٩( 'ω' )و


わかめスープを食べられなかったことを
못 먹었다 モン モゴッタ ではなく

못 얻어먹었다 モドドモゴッタ

を使っているんですね〜

辞書をみると「얻어먹다」は
①もらって食べる
②おごってもらう
③悪口などを言われる

となっています。さらにネットを調べるとこんな説明が出てきました。例文も入れたいので引用します。
KBS WORLD Radioより引用


얻어먹다(発音:オド モクタ)は「おごってもらう」という意味です。
“먹다 食べる”の前についている얻어”という言葉は、特定の動詞の前について“何かが受動的に行われている”ということを意味します


今回は “얻어먹다”ですが、この場合も“自らがお金を出してご飯を食べるのではなく、誰かにお金を出してもらって(受動的に)食べる”ということで“受動”といえますね。ほかにも下記のようなものがあります。


・얻어 + 맞다 (殴られる) … 殴られる
→“맞다 殴られる”より、“殴られたくもないのに殴られてしまった”という受動的な意味が強調されている

・얻어 + 듣다 (聞く) … 耳にする
→聞きたくて聞いたわけではなく、偶然耳にするという受動的な意味
・얻어 + 걸리다 (ひっかかる) → ひっかかる、ひっかけられる
→単なる“걸리다 引っかかる”より、触発的な意味が強調されている

・돈이 없어서 밥을 얻어먹었다.
(金がなくてメシをおごってもらった)
・그 사람은 어디선가 얻어 들은 소문에 너무 신경을 쓴다.
(あの人はどこから耳にした噂にあまりにも気にする)

http://world.kbs.co.kr/japanese/program/program_koreadrama_detail.htm?No=182

얻어듣다と얻어걸리다は、逆転の女王で使われていたかなあ?

とりあえず、얻어맞다(オドマッタ)=殴られるは、丁度ヨンシクの誕生日の回、第8話冒頭に出てきます。テヒに叩かれたヨンシクに対して、カンウがかけた言葉です。

自業自得です←字幕訳
ぶたれて当然ですよ←吹き替え訳


それから얻어먹다(オドモクタ)=おごってもらう、は他の回でも出てきました。

逆転の女王第4話、ク・ヨンシク本部長の電話番号を知りたいポン・ジュンス。同期の、代理から課長代理に昇進したカン・ドンウォンに教えてもらう場面。代理にも昇進できないジュンスに嫌味たっぷり、恩着せがましいカン・ドンウォンのセリフ

「これは課長代理の職権で苦労して手に入れたんだ~ 中略 ~権力濫用しちゃった」に続くセリフです。

【字幕訳】
ドンウォン:
別に見返りは望んでない
同期の力になりたくて…

ジュンス
わかったよ
恩着せがましい野郎だ

【吹き替え訳】
ドンウォン:
おごって欲しくて言ってるんじゃない
同期のお前のためにオレは
いや ほんとにオレは恩を着せるつもりなんか全然ない

ジュンス
もうわかったよ
この野郎 恩着せがましく言いやがって
嫌味な奴だなあ クソっ


この場面も、字幕と吹き替えの違いが目立つところですね〜
字幕訳は短く、発言の主旨や意図を表そう、という感じです。

それに、重複は避けるのかな?
ドンウォンの3番目の文「야, 근데 내가 진짜 새색 내려 그러는게 아니고」(ヤ クンデ ネガ チンチャ センセン ネリョ クロヌンゲ アニゴ)の訳は全部カット。

省略しても、それまでのドンウォンの台詞と、ポン・ジュンスの「恩着せがましい」の台詞で代用できている気もします。ある方がよりシツコさが出ますが?

原文に近いのは吹き替えの方だけれど、確かに、それを活字で画面に出したら邪魔だし、時間内に全部を読みとれないかも。初めて見るドラマだと話の進行についていかなければならないから、発言意図が端的に分かることも大事なのかもしれません。


子供を叱る時もわかめスープ?

次にもう一つわかめスープの具体例を。出産と切り離せないというわかめスープ。それを表すような、ちょっと意外な使い方をしている例がありました。

第28話、会社に居づらいテヒをヨジンが物流センターに連れ出した場面。女子高生にからむ男子高校生を見つけたテヒが説教をする場面です。

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ヨジンが加わる前の場面です。


【字幕訳】
女子をイジメてー
産んでくれた母親に恥ずかしくないの

【吹き替え訳】
こら
お母さんは女の子をイジメるために
あんたをお腹を痛めて産んだと思ってんの

【原文】
こら
あんたのお母さんは女学生でもいじめろと
あんたを産んでわかめスープを召し上がったのか
このガキが



要は「こんなことをする子のためにわかめスープを飲んだんじゃない」と表現しているのですが。こんな子のために~というフレーズに、「わかめスープ」という言葉が出てくるのが意外でした。

日本人の感覚では、吹き替え訳や字幕訳のように、お腹を痛めたとか、親に恥ずかしくないのか、と表現するのが自然ですよね。そこを、韓国では「わかめスープを飲んだお母さん」という表現になるんですね〜

それくらい韓国では、わかめスープ=出産=親の愛情というイメージなのでしょう。このドラマのほかで見聞きしたことはまだありませんが…

逆転の女王のパク・チウン박지은作家、1976年生まれですって。思っていたより若い。というより思っていたよりシフシフと年が近くてショックかも??今はミノ(ミンホ)ssiとお仕事だなんて、単純にうらやましいですわ〜(^^)





われらがシフシフ、済州でのイベントが楽しいものになるといいですね〜

それから、二年前の済州島の風景が眠りから覚め、世の中に出ますように…