地上波にもスタジオドラゴン〜CJ E&M子会社ドラマラインナップ

KBS新週末ドラマ『黄金色の私の人生』の制作会社、STUDIO DRAGON。話題も話題作も豊富な制作会社です。今回はその特徴を簡単に、また公式ページ掲載のドラマをご紹介します。KBS週末ドラマ同時間帯の他局の編成なども。


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『黄金色の私の人生』台本




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スタジオドラゴンロゴ




スタジオドラゴンの最大の特徴は
CJ E&Mの子会社だということ。

CJ E&Mというと、配給した映画『軍艦島』のスクリーン寡占批判が記憶に新しいところ。映画部門のほかに、放送、音楽、公演、ゲーム、スマートメディア事業部門を持つ総合エンターテインメント企業です。

放送部門ではtvN,OCN,Mnetなど18チャンネルを運営するCJ E&M。そのCJ E&Mのドラマ事業本部を分割して2016年5月に設立されたのがスタジオドラゴンです。
チャンネル数はCJ E&M放送事業公式ツイッターより。メディア記事によっては16チャンネル



スタジオドラゴン公式HPを見てみると新しい作品から順に並んでいます。まず目に入るのは、身内のtvN,OCNの作品。

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現在放送中の
『名不虚伝』tvN土日21:00〜
『助けて』OCN土日22:20〜
『クリミナル・マインド』tvN水木22:50〜

『黄金色の私の人生』はKBS2土日19:55〜だから、週末はドラマ3作品でスタジオドラゴンのロゴが電波に乗っているわけですね👀

黄金色の〜は「制作 STUDIO DRAGON」で、名不虚伝は「企画 OCN STUDIO DRAGON」で、助けては「企画 tvN STUDIO DRAGON」で。
権利関係で掲載対象外なのか、このHPには『黄金色の私の人生』は載っていませんが。



次の作品を見ていきます

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tvN『河伯の花嫁2017』
tvN『秘密の森』
OCN『デュエル』


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tvN『サークル:繋がった二つの世界』
tvN『 シカゴタイプライター 』
tvN『明日あなたと』



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tvN『内省的なボス』
tvN『鬼<トッケビ>』
SBS『青い海の伝説』

ここで地上波局のドラマが出てきました!
青い海の伝説、放送したのはSBSですが著作権はスタジオドラゴンが持っています。トッケビと青い海の伝説は、とりわけスタジオドラゴン色の強い作品です。それはまた改めて書きます。




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tvN『アントラージュ』
MBC『キャリアを引く女~キャリーバッグいっぱいの恋〜』
tvN『THEK2~キミだけを守りたい~』
KBS『空港に行く道』
tvN『シンデレラと4人の騎士<ナイト>』
tvN『キスして幽霊!~ Bring it on, Ghost~』

出来るだけ邦題で記していますが、原題には無いキラキラフレーズ付きが多いなあ(^^)



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tvN『グッドワイフ』
OCN『元カレは天才詐欺師~38師機動隊~』
tvN『ディア・マイ・フレンズ』



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tvN『また?! オ・ヘヨン~僕が愛した未来( ジカン)~』2016.05.02〜2016.06.28
OCN『ヴァンパイア探偵』2016.03.27〜2016.06.12
tvN『記憶〜愛する人へ〜』2016.03.18〜2016.05.07

スタジオドラゴン設立が2016年5月2日。
なので設立後初めて電波に乗ったのが『またオ・ヘヨン』ということになります。

『ヴァンパイア探偵』『記憶』は放送開始日は会社設立前ですが、どちらも著作権はCJ E&MではなくSTUDIO DRAGON CORPORATIONです。


HPでは『記憶』以下、『笛を吹く男』『名もなき英雄』『シグナル』『恋はチーズ・イン・ザ・トラップ』『風船ガム』『2度目の二十歳』……とCJ E&M時代の作品が新しい順にまだまだ続きます。
一応日本版をチェックしてみたところ『名もなき英雄』『チーズ・イン・ザ〜』『風船ガム』『2度目の〜』の著作権はCJ E&M Corporation。『笛を吹く男/邦題:交渉人~テロ対策特捜班』はSTUDIO DRAGON CORPORATION、『シグナル』はSTUDIO DRAGON CORPORATION & ASTORY になっていました。


スタジオドラゴン公式ホームページ
www.studiodragon.net


以上まとめると、
スタジオドラゴン創設が2016年5月。
それ以降に放送開始した『またオ・ヘヨン』から数えると、HP掲載作品は22。うち『空港に行く道』『キャリアを引く女』『青い海の伝説』の3作品は地上波で放送されたもの。


まず驚くのは作品数ですね。

普通の制作会社では多くて年2,3本言われています。4本の会社も見ましたが…
それでも、スタジオドラゴンの創立16ヶ月で22本は圧倒的数量。つまり、スタジオドラゴンは普通の制作会社ではない、ということでしょう。

元々CJ E&Mのドラマ事業部門をだったのを分割して設立されたスタジオドラゴン。現在もテレビ局のドラマ部門に相当するように見えますね。

メディア記事でも、スタジオドラゴンは他の放送局に作品を供給する立場と、外注制作社作品への編成権を有する立場を同時に持つ、「編成権を持つ巨大制作会社」と定義されています(下掲スポーツソウル)。作品を細かく見ると、企画がスタジオドラゴンで制作は他の制作会社、の作品も多いです。




次に驚くのは、スタジオドラゴンが地上波の作品も手がけていること。今回、『黄金色の私の人生』にも入っているわけですが、KBS週末ドラマでCJ E&M子会社のロゴを見るのは不思議な感覚ですなあ。



常勝のKBS週末ドラマ

何せKBS週末ドラマは、視聴率が出にくいこの時代にあっても、どのドラマも視聴率20%は獲る安定の高視聴率枠。

常に高視聴率の秘密は、50代・60代の固定視聴層を確保していることと、20時台後半まではMBCとSBSはニュースの時間でドラマは放送していない、という分析記事も見ました。固定視聴者層プラス、反応が良かったり話題性が増したりするとより高い視聴率が出てくるとのことです。

黄金色の私の人生は第4話にして視聴率30%に迫る程、良い反応が出ているし、今後ヒロインに起きるジェットコースター・ストーリーも興味を引きそうなので、さらに高い数字が期待できそうです。

SE★企画:KBS週末ドラマ①
『クォン家の娘たち/原題:娘富者の家』から『お父さんが変』まで…国民ドラマの歴史

ソウル経済 2017.06.24

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KBS週末ドラマ:土日19:55放送開始
現在の開始時刻になったのは2004年11月6日から。以来19:55開始で固定。1時間枠だったが終了時刻は徐々に伸びている

MBC週末ドラマ:土日20:45放送開始
2010年10月31日まではKBSと同じ19時55分開始だった。翌週からニュース枠と入れ替えて20:40開始に変更。2013年4月20から現在の20:45に。
9/2スタートの新作『御膳立てする男』はゼネストでニュース時間短縮のため、9/2,9/3,9/9,9/10と8:35開始

SBS週末ドラマ:土曜日のみで20:45放送開始
前身のSBS週末劇場は、広告市場低迷によるドラマ制作費削減を理由に2015年3月に廃止された。翌年3月に廃止前と同じ土曜・日曜20:45〜で復活。
2016年11月5日から、日曜の放送をなくして土曜日のみ、20:45から23:05まで2話連続放送に。現在48話まで終了の『姉は生きている』は9/2から、従来の1話分を2分割して4話連続形式で放送中。

KBS週末ドラマが強すぎて、それとあまり重ならない時間にMBC,SBSは週末ドラマを移動させたようにも見えます。SBSは土曜連続放送に変えたことも奏功して、後半の時間帯は高い視聴率が出ていますよ。

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ゼネストのためドラマが10分繰り上がった9/2(土)のMBC番組表

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SBS9/3(日)編成表。SBS8ニュースの前は「ファンタスティックデュオ2」という音楽バラエティー。ニュースの後は時事教養→バラエティー番組→時事教養番組(SBSスペシャル)で、ドラマの放送はない。


ちなみに、KBS1土日8時台はドキュメンタリー枠のようです。
週末の夜8時台は、ニュースやドキュメンタリーではなく、KBS2の週末ドラマを見るのが韓国の定番なんですね〜
それも視聴率20%台では首をかしげる、と言われるくらいお茶の間に君臨してきたKBS週末ドラマ。


視聴率という点から見れば、週末ドラマはKBSの中でもとりわけ、公共性の高いドラマ枠ということ。問題の核心はまさにここな訳で……その問題はスタジオドラゴンとは関係ないので今は脇においておきますが…


いずれにせよ視聴率という点から見れば、週末ドラマは他の枠よりも確実に多くの視聴者の目に触れる、KBSのブランドドラマ枠ということ。そこに、KBSと競合関係にあるCJ E&Mの子会社が加わっているのは、やはり不思議な感じがします。クレジットで流れるのは「ドラゴンマーク」でも、実質はCJE&Mなのですから。

まあ、一制作会社として見れば、スタジオドラゴンは頼もしいパートナーということなのでしょうね。その母体であるCJ E&Mに有力PDが移籍してしまうのは、組織としては痛手であっても。



KBSのモンスターユニオン
人材の外部流出を食い止めるべく、KBSも動きました。

KBSとその関連会社の共同出資で、芸能及びドラマ制作会社・モンスターユニオンを設立。そこに、
製パン王キム・タック』『ヒーラー』『町の弁護士 チョ・ドゥルホ(ドゥロ)』のイ・ジョンソプPD、『いとしのソヨン』のユ・ヒョンギPD、「1泊2日 」シーズン3のユ・ホジンPDなどが移籍。将来的にはKBS以外の放送局への作品供給も目指しているとの報道ですが…

モンスターユニオンに対しては、バッシングの嵐です。民業圧迫だ!ということで。
各関係団体から抗議を受けるなか昨年設立した後、今年の5月末と6月頭から『7日の王妃』『最高の一発』の2作品を送り出しています。



外注制作社団体 KBSの「モンスターユニオン」設立に強く反発
聯合ニュース 2016.07.15

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モンスター対ドラゴンの対決! KBS-CJ E&Mの戦いに外注製作社が巻き添えに
スポーツソウル 2016.08.04

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モンスターユニオンの報道も多数あって、今日はとても書ききれないのですが。

スタジオドラゴンとの違いを一つ挙げておくと、両者の違いは脚本家パワー。

人気脚本家の所属社を買収しているのがスタジオドラゴンの大きな特徴です。
トッケビキム・ウンスク作家も、青い海の伝説のパク・チウン作家も、スタジオドラゴン傘下の脚本家、という立場です❗️

ー次回に続くー