制作本数韓国1位・スタジオドラゴンの強みとは〜コピーライトとJSピクチャーズ編

今年中に前回の続きを書かねば、ということでスタジオドラゴンの話題を。

CJE&Mの子会社スタジオドラゴン。2016年5月の設立ながら、制作本数韓国ナンバーワンの会社です。その勢いの源泉とは?
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「CJ E&Mの巨大恐竜スタジオドラゴン、独占と競争の間」
日刊スポーツ2016.10.05より

[진단is] CJ E&M의 거대 공룡 스튜디오 드래곤, 독점과 경쟁 사이


スタジオドラゴンは2016年5月、CJ E&Mのドラマ事業本部を分割して設立されました。CJ E&Mのドラマというと、CJ E&Mが運営するtvNとOCNのドラマ。

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スタジオドラゴンホームページより
スタジオドラゴン設立前では
tvN『ミセン』『応答せよ』シリーズ
『ああ、私の幽霊さま』『シグナル』『記憶』
OCN『悪い奴ら』など
応答せよシリーズはスタジオドラゴンHPには載っていない

スタジオドラゴン設立後は
tvN『トッケビ』『また!?オヘヨン」『秘密の森』
OCN『ボイス』『トンネル』など。

注目はスタジオドラゴン設立後、tvN,OCNドラマのコピーライトが変化していること。

スタジオドラゴン設立前のtvN,OCNドラマは
©CJ E&M Corporation, all rights reserved.が基本形。
設立後の日本上陸済みドラマを見るとその約8〜9割
© STUDIO DRAGON CORPORATIONです。

設立後の例外は
tvN『ブッとび!ヨンエさん シーズン15』©CJ E&M Corporation, all rights reserved.
tvN『おひとりさま~一人酒男女』©CJ E&M Corporation, all rights reserved.
tvN 『シンデレラと4人の騎士』 © 2016 HB ENTERTAINMENT All Rights Reserved

『シンデレラと〜』は企画がスタジオドラゴンで、制作のHBエンターテイメントが著作権を持つケース

※1/2 追記
OCN放送のドラマを二つ見落としていました。二つとも制作サイドが著作権を持つケースで、かつスタジオドラゴンの関与が見えないもの
OCN 『じれったいロマンス』© 2017. Godin Media Corp. All rights reserved.
OCN 『メロホリック』Licensed by スカパー! &KBS JAPAN ⓒ 2017 KBS Media Ltd. All rights reserved.


スタジオドラゴンの比率がいくらか下がりましたが…スタジオドラゴン設立前の『ⓒCJ E&M」にスタジオドラゴンが取って代わっている状況に変わりなく。

日本未上陸の最新ドラマの場合も、ウィキペディアでスタジオドラゴン名義がないCJドラマは少数。『ブッとび!ヨンエさん シーズン16』と、応答せよシリーズのシン・ウォノPDの最新作『賢い監房生活』くらいです。


つまり、設立後のtvN,OCNドラマの大多数がスタジオドラゴンが企画又は制作したもので、それがスタジオドラゴンブランドで流通。これが、スタジオドラゴンの作品数を押し上げている要因です。

現在、スタジオドラゴンの制作本数は年間20本程、韓国市場占有率は制作本数基準で20〜22%※と、韓国ナンバーワンシシェアと報じられています。
ebnの数字。スタジオドラゴン発表では20〜25%シェア
http://www.ebn.co.kr/news/view/916981

ここまでのシェアが可能なのは、自社チャンネルのtvNとOCNドラマの大多数がスタジオドラゴンブランドだから。その中身を見ると、企画がスタジオドラゴンで制作は他の制作会社、というケースの方が多い。ウィキペディアの分類を単純にカウントすると、制作15作品、企画26作品。企画作品でも、スタジオドラゴン制作本数実績にカウントされる。自社チャンネルを持つ制作会社ならではの強みです。


スタジオドラゴンのさらなる飛躍には、他チャンネルでの制作本数を増やす必要がありそうです。スタジオドラゴンが制作した地上波ドラマは以下のとおり(スタジオドラゴン設立後のみ)

KBS『空港に行く道』© STUDIO DRAGON CORPORATION
MBC『キャリアを引く女』© STUDIO DRAGON CORPORATION
SBS 『青い海の伝説』© STUDIO DRAGON CORPORATION
KBS『黄金色の私の人生』
さらに、10/21スタートのSBS週末ドラマ『ブラボーマイライフ』を、スタジオドラゴン傘下のファ&ダムピクチャーズが制作。現在放送中のKBSとSBSの週末ドラマは、同業他社であるCJ E&M傘下の制作、という状況なんですよね。

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『黄金色の私の人生』KBS2土日19時55分〜
企画KBS/制作スタジオドラゴン

『ブラボーマイライフ』SBS土曜20時50分〜
企画SBS/制作ファ&ダムピクチャーズ※2016年スタジオドラゴンが同社株式100%取得

『花遊記』tvN土日21時〜
企画tvN/制作スタジオドラゴン,JSピクチャーズ※2013年CJ E&Mが同社株式70%取得

『悪いやつら 悪の都市』OCN土日22時20分〜
企画OCN/制作スタジオドラゴン,アーバンワークス

土曜日はCJ系列ドラマが4本も!!
スタジオドラゴンだけで3本


と思っていたら、スタートしたばかりの『花遊記』で歴代級放送事故の報道が…放送第一週目なのに編集作業が不完全だったというのは、ちょっと、驚きかな。


さらに、花遊記撮影現場で外部スタッフの転落事故が起きていたことも判明。怪我をしたのはJSピクチャーズから美術小道具労務を請け負ったMBCアート所属スタッフ。これを受けて全国言論労働組合がCJ E&MとJSピクチャーズにドラマ制作中止を要求したとのこと。

JSピクチャーズ、比較的大きな制作会社だと思うんですけどね。

【JSピクチャーズが制作した最近の作品】
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JSピクチャーズ公式サイトより

今年放送されたのは
JTBC『力の強い女ト・ボンスン』ドラマハウスと共同制作
MBC『帰って来たポク・タンジ』
JTBC『品位のある彼女』ドラマハウスと共同制作
tvN『付岩洞(プアムドン) の復讐者たち』
tvN『花遊記』スタジオドラゴンと共同制作
の5作品

もっと遡ると1999年の設立で、
SBS『ラブストーリーインハーバード』、KBS『京城スキャンダル』、SBS『食客』、SBS『ジャイアント』、MBC『改過遷善』等々


公式サイト掲載のJSピクチャーズのディレクターは10名
【JSピクチャーズのディレクターとその代表作】
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ざっと見たところ、現在在籍するのはMBC出身の監督が多いです。

キム・ドフン監督演出作→
MBC『ロイヤルファミリー』『太陽を抱いた月』『メディカル・ トップチーム』

キム・サンホ監督
MBC『アラン使道伝』『男が愛する時』『華政』

クォン・ソクチャン監督
MBC『パスタ』『マイ・プリンセス』『ゴールデンタイム』『ミスコリア』
tvN『元カノクラブ』『付岩洞の復讐者たち』

キム・ユンチョル監督
MBC『私の名前はキム・サムスン
JTBC『私たち結婚できるかな』『品位のある彼女』

アン・パンソク監督
SBS『白い巨塔
JTBC『妻の資格』『密会』
SBS『風の便りに聞きましたけど!?』

イ・テゴン監督
MBC『ラスト・スキャンダル』
JTBC『インス大妃』『あなたの隣人の妻』『愛するウンドン』『青春時代』

これだけPDが抜けたらMBCも痛手だろうなあ。

ウィキペディアによると、MBC出身のアン・パンソク監督とイ・テゴン監督は、JSピクチャーズに来る前は、JTBCのプロデューサー職についていました。確認できていませんが、キム・ユンチョル監督もJSピクチャーズに入る前は、JTBCと契約していたのかもしれません。


CJにとってJTBCは色々な意味でライバル会社。そしてJSピクチャーズはCJ E&Mが70%株式を保有するCJ系列社。JSピクチャーズを介して、ライバル社から有名ディレクターを引き抜く結果になっているわけで、面白いなあと思います。



それで、花遊記の事故についてですが。
JSピクチャーズが制作費を抑制していたとか、下請けスタッフが長時間労働を強いられていたなどの声が上がっています。

CJ E&M自体は、次回書きますが資金力のある会社なんですけどね。
CJ E&M、そしてスタジオドラゴンが有名脚本家や演出家を迎え入れたとか、海外進出のために幾ら投資するなどの、華やかな話題には事欠きません。

そして上昇志向が強い。
スタジオドラゴンが語る目標。市場占有率を現状の20〜25%から、2020年には40%まで拡大したいとか。2020年にはタイム・ワーナーやウォルトディズニーと競い合う位の、世界トップ10のメディアコンテンツ会社へと跳躍するとか。

高い目標実現のためにも、まずは、足もとを支えてくれている裏方の、外部スタッフにまで心を砕く余裕がないと、ということでしょうかねえ。

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スタジオドラゴンホームページより



気を取り直して?、改めて12月以降のtvN土日ドラマをまとめます。
『世界でもっとも美しい別れ』企画tvN スタジオドラゴン
制作スタジオドラゴン チティスト
脚本 ノ・ヒョンギョン 同作家の同名MBCドラマのリメイクで全4話/
出演 チェ・ジウ ユ・ドングン

『花遊記』企画tvN
制作スタジオドラゴン、JSピクチャーズ※2013年CJ E &Mが同社株式70%取得
脚本 ホン姉妹/出演 チャ・スンウォン イ・スンギ オ・ヨンソ

『Live(生きる)』
企画スタジオドラゴン/脚本 ノ・ヒギョン/演出 キム・ギュテ

さらに2018年6月末又は7月には『ミスター・サンシャイン』(制作 ファ&ダムピクチャーズ※スタジオドラゴンが同社株式100%保有/脚本 キム・ウンスク/出演 イ・ビョンホン)が控えています。何とも豪華なラインナップ!


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チェ・ジウの出演ドラマはウェブドラマを除くと、3作続けてCJですね。tvN『2度目の二十歳』、MBC『キャリアを引く女』(制作・著作スタジオドラゴン)、そして『世界でもっとも美しい別れ』。2016年公開のジウさん映画『ハッピーログイン/原題 好きになって』の配給もCJエンターテイメントだったりします。


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左『ディア・マイ・フレンズ』
右『世界でもっとも美しい別れ』

ノ・ヒョンギョン作家もCJ続き。『彼らが生きる世界』『パダムパダム』『その冬、風が吹く』などのノ・ヒギョン作家。SBS『大丈夫、愛だ』(制作GTエンターテインメント,CJ E&M)の後は、tvN『ディア・マイ・フレンズ』『世界でもっとも美しい別れ』『Live』とtvN続き。

キム・ウンスク作家にいたっては、所属する制作会社ごとスタジオドラゴンが買収していますからね。

キム・ウンスク作家が所属するファ&ダムピクチャーズは、同作家の『シークレットガーデン』や『紳士の品格』『相続者たち』などの制作会社。2016年6月末日付けでスタジオドラゴンがファ&ダムピクチャーズ株式を100%取得。その後ファ&ダムが制作した『トッケビ』がtvNで大ヒット。ファ&ダムの新作ミスター・サンシャインも、SBSで編成の論議もあったけれど結局tvNで編成確定。これだけでもスタジオドラゴン強いなあと思います。



予定より長くなったので今日はここまで。
続きは結局、来年に持ち越しだ…

スタジオドラゴン公式ホームページ
www.studiodragon.net
JSピクチャーズ公式ホームページ
jspictures.tv